今回の台風ではそこかしこで河川の氾濫が発生しています。いまだ冠水している地域もあります。お気を付けください。
今回の台風19号は多くの河川で氾濫、越水が発生しました。
防災というのはとても重要でいざというときにしか目立たないかもしれないですが、
そのいざというときが来てからでは手遅れだという事を改めて思い知らせたと思います。
さて、そんな中で売れなかったラノベ作家こと
元民主党議員(落選中)の宮崎岳志氏がこんなツイートをしていました。
—–
https://twitter.com/MIYAZAKI_Takesh/status/1183041778443644928
宮崎タケシ @MIYAZAKI_Takesh
ネトウヨが騒ぐ前に言おう。今回のような水害でもスーパー堤防はスーパー役立たず。理由は①上流が決壊したら堤防の外を水が流れてくるから意味ない②その予算で上流に何倍もの普通の堤防を作れる③国交省は「スーパー堤防上に周辺住民が避難」というが、狭すぎる、避難する時に河側に向かわないよ!
—–
さすが売れなかったラノベ作家。
民主党政権でスーパー堤防を全否定したことが
水害のたびに取り沙汰されるのでこれでカウンターになると思ったようです。
>①上流が決壊したら堤防の外を水が流れてくるから意味ない
スーパー堤防についてわかってます?
決壊を繰り返す箇所は負荷がかかる場所なのでそこについてまた対策が必要ですね。
>②その予算で上流に何倍もの普通の堤防を作れる
その予算も否定したんですよ。民主党政権は。
まして予算を仕分けする考えからしか物を言えない時点でお話になりません。
>③国交省は「スーパー堤防上に周辺住民が避難」というが、狭すぎる、避難する時に河側に向かわないよ!
やっぱスーパー堤防についてわかってねーだろ。
スーパー堤防は幅広く盛り上げ、
かつ緩やかに傾斜を長い距離で作る事で決壊を防ぐところに意味があるので
スーパー堤防を小高い丘みたいなイメージで語られても困ります。
ましてスーパー堤防以前に
今回のように50年に一度とかいうクラスのものが来たときに
被害を可能な限り防ぐにはどうしたらいいか、
常に可能な限り備え続けなければならないのです。
民主党のやった事業仕分けは財務官僚が台本を書いていた事を
産経がすっぱ抜いていますので
「財務省の権限拡大のために他省庁の予算を難癖を付けてでも削る事が目的」
という事がわかっているものではありますが、
その事業仕分けでは「いざというときに備える」という事そのものを否定しています。
まして「コンクリートから人へ」という
馬鹿なキャッチフレーズでインフラ整備を否定しまくった民主党は
そのインフラを否定しまくった事をいまだ反省していないのですから。
改めて民主党政権がやった事業仕分けの議事録を見てみましょう。
平成22年10月28日開催
行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」WG-B
項 目 名:治水事業の選択と集中、河川等の管理のあり方
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9283589/www.cao.go.jp/sasshin/shiwake3/details/pdf/1028/gijigaiyo/b-7.pdf
一部抜粋
—–
岡田克也
ヨーロッパ諸国では、そんなに加入率は高くないそうなんですが、水害保険というのもあるやに伺ったことがございます。私はB/Cで、これ道路についても言いたかったのですが、B/Cでそのベネフィットと見ているところ、被害に遭う、それを避けられるとしてのベネフィットと見ているところに、保険でカバーされているものが結構入っていると思うんです。
~中略~
例えば、こういう水害保険的なやり方で流域の方にかけていただける、例えば地震の再保険のように国が再保険にする。そういった形でBを減らしていって、ハザードマップをつくるとか、いざ水害が出たときには避難していただいて、ちゃんと保障ができるような仕組みをつくるとか、そういうことを検討されるたことはありませんでしょうか。
—–
スーパー堤防などの治水事業を否定するという財務省の台本を達成するために
「治水にコストがかかりすぎるのだから、治すではなく政府が保険を積み立てておいて被害が出たら保険で払う」
なんてことを恥ずかしげもなく言っています。
家や家財は被災すればダメになってしまいます。
そして岡田克也のような人間にとって買い換えれば良い程度の認識かもしれないですが、
それぞれの人達にとってみたら思いの詰まった大切な財産だったりすることも少なくありません。
ましてや大災害になるようなことがわかっているのだから
コストがかかる治水を諦めて被害を補填すれば良いなどとよく言えると思います。
それが人命だったら取り返しが付かないのです。
そして伝説の緒方林太郎議員(当時)の発言が
—–
緒方
スーパー堤防について総数 10、「事業廃止」と判定した方が9名、「事
業内容の見直しを行う」が1名で、その中で「予算要求の圧縮」と言われた方が同じく、「見直し
を行う」方1名、30%程度の削減ということでありまして、スーパー堤防については、スーパー無駄遣いということで廃止にさせていただきたいとうふうに思います。
—–
調子に乗って言ってしまったのでしょうが、
巨額の予算をぶった切った分の責任はきっちり背負っていただきましょうね。
今回、多摩川が二子玉川のところで氾濫を起こしましたが、
二子玉川のところは元々広い河原だった部分の一部まで
居住区にしてしまっています。
そのため、水害を防ぐのなら堤防は必須でした。
二子玉川の昔と今の地図をみれば一目瞭然です。
ちょっと「強盗慶太」なんて言われた人の会社が
河原だった二束三文の土地を高級住宅地として売って荒稼ぎした負の遺産なんですが、
こうやって赤線で分けるとわかりやすいと思います。
こういうのを見れば二子玉川のところに堤防が必要だったのは明らかでしょう。
まぁ、その前には岸に近かった料亭などが築堤反対をやりましてね。
川を眺めながら料理を食べるという部分を守ったのでしょうが、
その後料亭が潰れて購入されたという経緯もあります。
一つの業者とかそういうのではなくて代わる代わる築堤反対がやられてきたんです。
そして地元の一部のタワマン居住者などによる
「二子玉川の環境と安全を考える会」
などのアホな団体が組織されまして、この堤防設置に反対しました。
それが今回の水害へと繋がっているわけですが、
「二子玉川の環境と安全を考える会」さんは
今回の水害発生であわててホームページを削除しています。
以下魚拓
—–
https://megalodon.jp/2008-0902-2324-03/www4.ocn.ne.jp/~i_love_t/
今、二子玉川南地区に堤防が造られようとしています。
国土交通省は住民の生命と安全を守るために造るのだと主張していますが、本当にそんな高い堤防が必要なのでしょうか。
—–
景観が大事だー、景観が悪くなったら土地の価値がー
とかそういうくだらない理由に後付けに余計な理由を付けて反対。
そして被害に遭ってから逃げるようにHPを削除。
本当に迷惑極まりない話です。
ダムや堤防、護岸は悪であるという言説は昔からパヨクに人気がありました。
欧米でマルクス思想で食えなくなった連中がグリーンピースなどに運動を切り替えたり
自然を守れというのを飯の種にし始めたというところも親和性の高さなのでしょうが、
マルクス主義者の資本主義を悪と見る教義から
現代の資本主義を否定する象徴的なものとして文明的なものを否定する
ということが流行っていた時期がたしかにありました。
日本でもそういうのが後れてマスコミによって導入され
脱ダム宣言までする知事が出るに至りました。
その脱ダム宣言をした知事の任期中に洪水が起きているのが皮肉です。
こうした背景があることから堤防や護岸工事などの反対運動には
ダム反対活動のプロ市民団体なんてものも応援に入ったりしたようです。
で、ここまで書いてなんで二子玉川の例を出したかと言いますと・・・。
先に取りあげた事業仕分けの議事録から引用しましょう。
—–
村田REN4
今、スーパー堤防をやろうとしているところは、二子玉川沿いを視察に行かせていただきましたけれども、既に堤防が整備されて、その上でまちづくりという機会があれば、更にスーパー堤防化しよう、ダブルで大切にしている。
つまり、住宅、人口密集地だからやりたいという思いはわかるんですが、優先順位が違うと私は思うんですが、いかがでしょうか。
—–
二子玉川の堤防建設反対運動をやっている連中に案内されて
わざわざ「無駄だ」と言うパフォーマンスのために見に行っています。
パヨクネットワークって狭いっすよねー。
人口密集地だからやりたいなどというのは優先順位が間違っているとか
言っている内容もメチャクチャです。
ちなみにこの二子玉川の堤防整備反対運動にコミットした団体に
「八ツ場ダムをストップさせる東京の会」
っていうのもあったりします。
今回、民主党に潰されるところだった八ッ場ダムが試験湛水であるものの
今回の豪雨によって増えた1億トンといわれる水を止めて
さらなる下流での氾濫を防ぐということを見せつけてくれました。
かつてのようにそこら中が田んぼであれば
もうすこし水の逃げ場があるのでよかったのでしょうが、今はアスファルトです。
水を逃がせる場がどんどん減っている以上、
ダム等の存在意義がより大きくなったと思います。
そう考えると選挙区を群馬県にしておきながら冒頭のアホなツイートをしていた
宮崎岳志氏のなんと浅はかなことか。
さて、それはそうとして安倍政権では
国民の生活より財務省が第一の麻生太郎がにらみを利かせているので
三本の矢などと言いながら公共事業費がぜんぜん伸びないという問題を抱えています。
デフレ不況を維持して増税スパイラルにしたい財務官僚にとっては
景気がよくなったら困りますからね。
代わりに地方創生予算などを特別会計から4兆円ほど回していますが、
これでは足りません。
あ、ただですね、公共事業云々言ったところで
民主党が治水事業を大幅に予算カットした事実は消えません。
河川改修費ですが
平成21年、麻生内閣の金額から民主党政権で激減している事がわかります。
そして安倍政権になってすぐに倍近い額に増額されていることがわかります。
以下、2015年9月12日の産経新聞の記事のグラフがまだwebに残っていますのでリンクを張っておきます。
—–
【相次ぐ堤防決壊 ハード対策追いつかず 専門家「想定以上の水が流れ続けた」】
—–
リンク先のグラフを見ればわかりますが、
麻生政権の時に8100億あった治水事業費が野田内閣で6000億円
安倍政権になって増額されていって7800億円ほどにまでになっています。
天災大国日本ではもっともっと必要であるというのがブログ主の考えで、
その点では安倍内閣でも予算の無意味な引き締めが行われすぎです。
ですが、民主党政権の時にくらべればまだマシです。
民主党の議員とその支持者はスーパー堤防だけの話にしようとすることがありますが、
スーパー堤防を出汁にして治水関連の事業予算をがっつり削ったんです。
事業仕分けで使った屁理屈の一つが
「今すぐに必要ではないのなら必要ない」
というものでした。
民主党政権は2010年の参議院選挙に勝つために
各種バラマキ公約のための予算をひたすらかき集めていました。
そんな中で
すぐには国民生活に影響が出ない=すぐには問題にならない
そういう防災や研究関連などが特に仕分けの餌食にされたわけです。
さらに言わせてもらえば民主党政権の時は
農家戸別所得補償をばらまくために
農地改良予算をその必要な財源の分だけ削りました。
ですので零細や兼業で規模が大きくないところなどは戸別所得補償で潤ったかもしれませんが、
農地の集約化、大規模化を進めていた業者にとっては非常に大きな打撃となりました。
農業の大規模化を進めるために耕作放棄地を借りていた農家が
「戸別所得補償があるから土地を貸すより屑米、飼料米を作った方が儲かる」
という民主党政権の政策によって土地の貸し剥がしを食らったのです。
戸別所得保障の評価基準が
がんばって質の良い米を作るというところではなく「数」だったのでこういう失敗になりました。
おまけに大手流通が
「戸別所得補償があるだろう!もっと安く売れ」
と強い立場を悪用して買いたたく事態も発生していたと国会で指摘されています。
いったいどこのイオンでしょうかね?
今農家の超高齢化が問題になっています。
特定の作物だけに補償金を積み上げ、品質を問わない、大規模集約化は否定。
(元々兼業や零細農家の票を買うのが狙いだったのでこういう制度になった)
そんな制度を続けていたら
なおさら農業が継続不可能なものになって潰れていくでしょう。
コメント
スーパー堤防、今初めて原理知りました
知識不足は恥ですわ
以前よりブログ読み続けているのに見落としていたんですね
これは決壊しても、決壊がわかってから時間的余裕があるの避難しやすいです。
最初は越水だけなので、少量の水がだんだんと広がるイメージですね