ボトラーズから見えるウイスキー業界の浮き沈み


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ウイスキー業界にはボトラーズという業種があります。

ウイスキーマニア以外はあまり知らないと思うので
まずはボトラーズというものの存在について説明させていただきます。

他の酒に比べてもウイスキーでもっとも大きい特徴は「熟成に時間が掛かる」事です。

よく8年とか10年とか12年とか、ウイスキーの品名に熟成年数が入っているものも多いと思います。
あれはスコッチ基準で言えば「最低それだけの期間は熟成させている」ということになります。
熟成に何年もかかるということは「何年もかかる間は現金化できない」ということでもあります。

そこで登場するのが「ボトラーズ」になります。

ボトラーズがウイスキー蒸留所からウイスキー原酒を買い取るのです。

買い取った原酒をさらに引き続き熟成させたり、
それぞれのボトラーズの独自の商品名で売ったりします。

この10年くらいのウイスキーバブルのおかげで
ボトラーズに売却するよりも自分達で売った方が利益が出せるケースも拡大していました。

その結果がボトラーズが買い取れるウイスキー原酒の不足になります。

こうした背景から、2023年には
ボトラーズとして100年以上の歴史を持つゴードン&マクファイル社が
ボトラーズ事業からの撤退を発表するなんてニュースもありました。

ですが最近また事情が変わってきました。

なんでも投機対象にするバブルなチャイナマネーが一気にしぼんだこと。
そしてトランプ関税です。

これによってウイスキーが流通で滞留しはじめ在庫過多となりはじめたのです。

市場は需要と供給によって成り立ちます。
ですので供給過多になれば必然的に利益が出なくなっていきます。

その象徴的なニュースは昨年暮れの

https://www.bbc.com/japanese/articles/c98nv1zzrzzo
バーボン「ジム・ビーム」、米主力製造拠点が来年1年閉鎖へ
(2025/12/22 BBC)

ジムビームの主力製造拠点での生産の1年間停止です。

記事にもありますが
業界団体のケンタッキー蒸溜酒造協会(KDA)は10月、州内の倉庫に保管されているバーボンの量が1600万樽(たる)を超え、過去最高に達したと発表した。

在庫過多になって向こう1年は生産調整が必要という判断になったようです。

先日、ボトラーズ業者の一つであるキングスバリーから
・ボウモア16年 2009
・ボウモア15年 2010
・ボウモア14年 2011
なんて形でボウモアがまとめて発売されました。
他のボトラーズからも次々にボウモアがリリースされています。

ボウモア蒸留所はここ20年ほどは極端にボトラーズへの原酒販売を絞ってきました。

ところがこれだけまとめてボトラーズからボウモアが発売されるということは
ボウモア蒸留所が方針を転換してボトラーズにばんばん原酒を売却して
在庫を現金化させているということでもあります。

ボトラーズからのリリースが非常に少なかった他のウイスキー蒸留所でも、
ここのところボトラーズから次々に商品がリリースされています。
つまりは供給過多となっている中で売るに売れない、
かといってキャッシュフローが止まるのは会社としては致命傷になります。
そこでボトラーズに売却することで現金化する量が増えているのです。

しばらくこの流れは続くでしょう。

ウイスキー業界は好況と不況の循環の中で
時に蒸留所が操業停止になり、時に蒸留所が廃業になり、
時に復活したりを繰り返してきました。

日本でもウイスキーブームに乗っかってウイスキー蒸留所が120を数えるほどに拡大してきました。
ウイスキーバブルの崩壊の波は日本にも襲いかかるでしょう。

日本のクラフト蒸留所と言われるところのウイスキーは基本的に高価です。
これは蒸留所の規模に比して従業員数が多かったり、
歴史がないため金に出来る熟成されたウイスキーの在庫も無い。
故にどうしても高くしなければならない事情もあります。

一方でウイスキー業界の巨人、ディアジオ(ジョニーウォーカーなどの製造元)はというと、
徹底的な機械化、合理化を進めていて
主力の工場の社員数が非常に少ない(下手すれば数名の工場も)のです。

ウイスキーバブルの崩壊で生き残るにはこういう相手とも競争をしなければならなくなるでしょう。

ウイスキーというのは年単位での熟成を経て出来上がるものですから
そう簡単に戦える態勢を作れるものでもないでしょう。

果たして大量に増えた日本のクラフト蒸留所で生き残れるのはどの程度なのか。

救いは日本でもボトラーズと言われる業者がいくらか動き始めている事くらいでしょうか。
ほんの一握りであっても生き残れる可能性は増えたかもしれません。

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