Xでポストしたら意外とみんなに知られていなかったので
ちょっとだけ加入戦術について触れます。
警察庁は加入戦術について以下のように解説していました。
――
加入戦術とは、トロツキストが自らの組織を作るに当たって、初めから一つの党派を標ぼうしても多くの同志を結集できない場合、まず、他の政党、大衆団体の中にもぐり込んで、次第に勢力を広げ、ついにはその組織を乗っ取るか、その組織から出て自らの独立した組織を結成するという戦術である。――
どんな組織でもその組織を乗っ取るのに
その組織の全員を掌握する必要はありません。
その組織の中で多数派を握れそうなグループを掌握すればいいわけです。
さらに言えばどんなグループであれ
積極的に意見主張をする人間、しない人間がいます。
人数が多い集まりになればなるほど
積極的な意見主張をする人達は
そのグループの全体からみれば少数となるはずです。
自民党を見れば岸田文雄率いる岸田派が
菅義偉グループ、旧二階派らを軸に
他の派閥でも左派系と手を組み、
日和見の議員達にも恫喝という手段で抱き込んで多数派を形成。
これによって昨年の総裁選では岸田派が
引き続き主導権を握り続ける多数派を形成し石破を神輿にして
権力を握り続けました。
ついでに岸田文雄は派閥単独で見ればせいぜい50人程度の岸田派でも
主導権を握りつづけられるように
他の派閥が結束を崩すため
派閥解散を呼びかけて岸田派を偽装解散させました。
岸田派は表向き派閥解散させた事になっていますが、
総裁選では見事に岸田派として動いていたことで
偽装解散であることを見せつけたと言ってよいでしょう。
また、政界引退した石原伸晃も
岸田派は表向き解散しているだけで
選挙互助会としての派閥機能はしっかり維持していることを暴露していました。
2025年9月22日 辛坊治郎ズームそこまで言うか!
のラジオ番組内で石原伸晃の発言が以下。
――
今、宏池会(岸田派)は派閥はなくなりましたけども、
議員の集まりとして互いに選挙助け合おうよみたいな、
互助会としての宏池会ってのはあるんですよ。
――
このとおり自民党でも党を牛耳るのに必ずしも全体を抑える必要はないわけです。
秋に行われた総裁選では
高市早苗候補が圧倒的な地方票を集めたことから
岸田派や菅義偉グループがこれまで締め付けてきた人達からも造反が出て
高市総裁が誕生しました。
これにより自民党がぶっ壊れようと
今度は小泉進次郎を神輿にして権力を握り続けようとしていた
岸田文雄、菅義偉らは実権を失いました。
時に恫喝も行って中間派を寝返らせてきた二階俊博が引退。
その二階派の番頭として昨年の総裁選で
高市を支持したら許さんぞ等々恫喝して回っていたと言われる武田良太は落選。
恫喝工作を引き受けられる人がいなくなったことで
高市が勝ちかねないと慌てたのが公明党でしょう。
公明党が総裁選の前に
高市を総裁にしたら連立を離脱するという事を暗に示して
二階派の代わりに総裁選に介入しましたが、
菅岸破派によって衆参ともボロボロになった自民党では
再び選挙でボロ負けして自民党が消滅しかねない危機感もあったのか、
岸田文雄や菅義偉の思惑通りには中間派を抑え続けられませんでした。
そろそろ話を戻しましょう。
このとおり、組織そのものを抑えるためには必ずしも
全体を掌握する必要はありません。
そしてこれこそが日本においては特に極左が使ってきた加入戦術の要諦なのです。
多数のグループと言えどせいぜいその組織の4割も居れば良い方でしょう。
でもその中で積極的に意見主張をする人達だって
そのグループの中の半分もいないでしょう。
ということは組織全体から見れば1~2割も居れば
組織全体を乗っ取れる可能性が出てくるわけです。
四半世紀にわたって志位和夫委員長の裏で不破哲三の院政を敷く体制が続いた
日本共産党は党員の超高齢化も問題になってきましたが、
不破・志位体制の下で勢力は後退を続けてきました。
いよいよその基盤が怪しくなってきたところで
党中央が取った戦略が「野党共闘」でした。
そして同様に先細りが見え始めてきた立憲民主党がこれに積極的に乗り、
立憲共産党として活動をしてきました。
日本共産党は選挙協力を通して名簿を手に入れ、
時には仲間をそうした組織に加入させたり勧誘したり、
協力という中で共産党に比べて圧倒的に規模の大きな立憲民主党を
より赤い組織へと純化させていく力となりました。
連合がやたら共産党を嫌っているのは
加入戦術によって組織に浸潤され乗っ取られかねない
そういう意識が非常に強いという理由もあるでしょう。
実際に過去に労組が乗っ取られていったり、
乗っ取りを防いでも、分派され分裂させられたりしてきた経験がありますから、
連合としては自分達の政党に作り変えてきた立憲民主党が
その土台となっている組織ごと乗っ取られて行く事を警戒して、
立憲民主党の日本共産党との共闘に反対し続けているのは
むしろ過去の経験を踏まえた当然の反応と言えます。
一方で自民党の方もかつて自自連立政権の時に
小沢一郎が引き入れた公明党がこちらも四半世紀にわたって自民に寄生し、
少数でありながら自民党の政策をねじ曲げ続け、
保守的な政策にブレーキをかけ続けてきたと言えます。
こちらも乗っ取りこそできなかったものの
公明党が与党の政策を長年に渡って歪めてきた事で
公明党やその基盤の某宗教団体の利益にもなってきたと言えます。
加入戦術というのはなにも政治に限りません。
判りやすいのは日本の統一教会でしょう。
統一教会が日本に進出にあたって協力をして
こうした行動を通じて立正佼成会はその幹部達を統一教会に加入させていきました。
日本の統一教会の初代会長の久保木修己も立正佼成会青年部長でした。
この経緯があるためか、自公連立になってからは
立正佼成会と統一教会はおもに民主党を支持していました。
民主党が統一教会幹部を地方選挙に公認した過去があることも有名です。
成田闘争と言えば新左翼がそれぞれなんとか派として活動していましたが、
これも元々は土地を維持しようという農民運動でしたが、
そこに中核派などの新左翼が目を付けていって協力していく形で
運動そのものを乗っ取って過激な反政府運動へと変容させました。
特に自らの努力によって価値を生み出して育てる。
そういう努力をしないで人様のお金などに寄生していく、
極左系の人達にとっては加入戦術こそが生存戦略とも言ってよいでしょう。
そうして長期的に見れば新たな宿主を見付けて乗っ取る。
乗っ取った先が潰れかけたら
また新たな組織を乗っ取りに行けばいい。
あるいは新たな寄生方法を作り出して行けば良いと考えるでしょう。
自ら価値を創造して育てていく努力をする考えがないのですから、
あの手の組織が公金チューチュースキーム作りに積極的なのも
ある意味で必然的な流れなのかもしれません。
日本共産党が党内での自由な意見を許さず
すぐに分派活動だと言い出して除名追放を繰り返すのは
日本共産党自身がその方法で組織を乗っ取ってきたりしたからこそ
組織を守る為の防衛反応でもあるとも言えるでしょう。
加入戦術は政治に限らず
組織乗っ取り、組織破壊に最も有効な手口であり、
スパイ工作に於いても非常に有効な手段の一つと言えます。


コメント
自ら価値を「想像」して育てていく→「創造」でしょうか。
日々更新お疲れ様です。いつも勉強させていただいています。
ありがとうございます。修正しました。
https://www.youtube.com/watch?v=yBfZ_ZBz5Sg
もしかして、モトカさんの中の人でしたか??!!
いえ。違います。私も元左翼ではありますが。